2021年7月28日(木)
2021年2月16 日(火)
二酸化塩素の新型コロナウイルスに対する
不活化効果を確認
~第 17 回日本小児消化管感染症研究会(2021.2.6)にて 大阪府立大学との共同研究成果を発表~
大幸薬品株式会社(本社:大阪市西区、代表取締役社長:柴田高、以下、大幸薬品)は、二酸化塩素の新型コロ ナウイルス(SARS-CoV-2)に対する不活化効果を確認したことを、大阪府立大学生命環境科学研究科(山﨑伸二教授)との共同研究成果として、第 17 回日本小児消化管感染症研究会(2021.2.6)に於いて、発表したことをお知ら せします。
本実験は、特許二酸化塩素ガス溶存液(クレベリン Pro 希釈用液、大幸薬品製)の各所定濃度に、SARS- CoV-2 液を加え、各時間経過後(10 秒, 30 秒, 1 分, 3 分)に中和後、その溶液を SARS-CoV-2 に感受性のあ る培養細胞(TMPRSS2 発現 VeroE6 細胞(*1))に接種す ることで、感染ウイルス量を定量する手法(TCID50 法)で 実施されました。その結果、SARS-CoV-2 による感染 価が、二酸化塩素溶存液 100 ppm(*2) (1.5 mM)で 10 秒で 99.997%(常用対数 4.5)以上、10 ppm(0.15 mM) で 10 秒で 99.96%(常用対数 3.4)以上の低減となり、 共に検出限界以下であることが確認されました。
SARS-CoV-2 は 、 新 型 コ ロ ナ ウ イ ル ス 感 染 症 (COVID-19)患者の糞便等から検出されており(*3(*4)。ま た、生存 SARS-CoV-2 は、エアロゾルや物体表面で比
較的長い時間検出されたとの報告(*5)があります。これらを踏まえ、本研究成果から、ヒトが触れる場所(ドアノブ、便座、 床、洗面等)に二酸化塩素を活用することで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染対策に有効であることが期待できます。
大幸薬品では二酸化塩素分子が、SARS-CoV-2 のヒトの体内への感染を阻止するメカニズムを解明したことを発 表(*6)しており、当知見も本学会で報告されました。二酸化塩素により SARS-CoV-2 の S タンパク質の ACE2 への結 合阻害が示唆されること、またタンパク質のチロシン残基とトリプトファン残基を特異的に酸化することで不活化すること が報告されている(*7)ことから、S タンパク質の ACE2 レセプター結合ドメインの 453 番目のチロシン残基を酸化すること で ACE2 との結合阻害を起こさせる可能性が示唆されています。さらなる研究により、衛生対策の有効な手立てのひ とつとして、低濃度二酸化塩素の活用を提言してまいります。
*1) TMPRSS2 発現 VeroE6 細胞とは: 国立感染症研究所が開発した新型コロナウイルスを増殖・分離可能な細胞株。
*2) ppm の単位について: ppm(parts per million)は 100 万分の 1 という割合を表します。液体では重量比(mg/L=ppm, 1L 水=1kg と近似)、気体では体積比を用います。 本試験の ppm は水溶液での重量比を表します。
*3) Persistence of SARS-CoV-2 virus RNA in feces: A case series of children. Wenjun D,Jinhong Y, Xiaoyan L,et al. J Infect Public Health. 13(7):926-931(2020)
*4) Detection of SARS-CoV-2 in Different Types of Clinical Specimens, Wang W, Xu Y, Gao R, et al. JAMA.323(18):1843-1844(2020)
*5) Aerosol and surface stability of SARS-CoV-2 as compared with SARS-CoV-1. van Doremalen N, Bushmaker T, Morris DH, et al. N Engl J Med. Mar 17(2020)
*6) Inhibition of the Binding of Spike Protein of SARS-CoV-2 Coronavirus to Human Angiotensin-Converting Enzyme 2 by Chloride Dioxide, Ogata N. and Miura T.,Annals of Pharmacology and Pharmaceutics Volume 5, Issue 5, Article 1195(2020)
*7) Denaturation of protein by chlorine dioxide: oxidative modification of tryptophan and tyrosine residues, Ogata, N. Biochemistry 46, 4898-4911 (2007)
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